近年、日本中で話題となっているクラウドファンディング。
企業のみならず個人までもがクラウドファンディングを実施して、さまざまなビジョンや事業計画を実現されています。
そこから商業的に大きな成功を達成したケースも、決して少なくありません。
クラウドファンディングをきっかけに、何千万円、何億円の利益が出たこともあります。
しかしクラウドファンディングは、時として「乞食行為だ!」などと批判されることがあります。
乞食行為であると多くの人から非難された場合、いわゆる「炎上沙汰」へ発展することも。
もし実名と顔を出している場合、強烈なネットタトゥーになってしまうかもしれません。
だからこそ、クラウドファンディングを実施する場合は、「乞食行為である!」と批判されないような内容で募集しなければいけません。
ここで問題になるのが、「どこまでがクラウドファンディングで、どこからが乞食行為なのか?」ということ。
両者の微妙な違いを理解しておかなければ、そのつもりがなかったとしても「乞食行為だ」と非難されるかもしれません。

本記事では、クラウドファンディングと乞食行為の違いについて、詳しく解説します。

目次
クラウドファンディングは乞食なのか?
そもそも、「クラウドファンディングはもれなく乞食行為である」と考えている人がいます。
しかしクラウドファンディングと乞食行為は、明らかに区別されるものです。
まずはクラウドファンディングと乞食行為の定義について、考えてみましょう。
そもそもクラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、すなわち 「何らかの目的を達成するために、不特定多数の人から金銭などを集める行為」です。
ただし一方的に施しを受けるだけなく、
- 支援者に対して何らかのリターンがある
- 他社利益を主たる目的としている
などの特徴があります。
これは、”株式”に近い形態だと言えるでしょう。
会社は「事業を展開するための資金が欲しい」と思っていて、株主は「支援してあげよう」としているわけです。
そして会社が利益を出した場合には、株主へと配当が支払われます。
このスキームで株式を通さず現金が動いているのが、クラウドファンディングの基本です。
乞食行為とは?
続いて、乞食行為について考えてみましょう。
乞食行為とは、わかりやすく言えば、「不特定多数から同情を買うなどして、自分のためだけに何を受け取ること」を指します。
たとえば、「明日のご飯を買うお金がないので、お金をください」というようなことですね。
つまりはクラウドファンディングとは言いつつ、ただ自分の目的のためだけに、一方的に誰かをもらおうとしているわけです。

ちなみに乞食行為は、軽犯罪法1条22条にて、明確に違法行為として定められています。
クラウドファンディングと乞食の決定的な4つの違い
クラウドファンディングと乞食行為は、はっきりとした線引きで区切られているわけではありません。
いまだ境界線が曖昧で、「見る人によって判断が異なるもの」です。
ビジネスシーンにおけるあらゆる行動は、時間をかけて一般化され、いつしか大体「こうあるべき」という風に形作られています。
「直前のキャンセルにはキャンセル料が発生するのが当たり前」、といったことですね。
しかしクラウドファンディングはとても新しい概念なので、「一般的にどうあるべきか?」というのが、まだ完全には定まっていません。
だから、人や状況、目的次第で、いくらでも乞食行為として認知される可能性があるのです。
それでもクラウドファンディングと乞食行為は、ある程度見分けられるようになりつつあります。
具体的には以下のような点が、決定的な違いとして定義づけられるでしょう。
クラファン乞食は、自己利益のためか
まず、「自己利益のためか否か」が重要となるでしょう。
クラウドファンディングは、本質的には「自己利益のみならず、他社利益のため」に行われるものです。
たとえば、「両親を失った児童のために、勉強する場所を作りたい」という目的があったとしましょう。
この場合、最終的には児童の利益が目的となっているので、クラウドファンディングとして定義されうるわけです。
対して乞食行為では、得られたお金は自分自身のためだけに使ったりします。
あるいは、自己利益の方が主体であり、他者利益が些末だったりするわけです。
わかりやすいところで言えば、
- 「バリ島旅行したい」
- 「結婚のお祝い金が欲しい」
- 「お小遣いが欲しい」
といったことですね。
ただし、何をもってして自己利益であるかは、判断が付けづらいところではあります。
しかし、多くの人から見て「自己利益を追求している」と判断されるなら、「クラウドファンディングを利用した乞食行為」として認知されやすくなります。
もちろん、あらゆるクラウドファンディングは利益を出すために存在します。
法律のことは一旦置いておくとしても、「クラウドファンディングした人が一切利益を受け取ってはいけない」なんてことはありません。
使用用途の明確性
使用用途が明確か否かも重要です。
使用用途がきちんと説明されており、なおかつその通りに使われていれば、少なくとも使途の透明性という面では問題ないでしょう。
「明朗会計」であればよいのです。
一方で、
- 何に使われるのかがわからない
- 説明した用途と異なる形で使われている
といったことがあると、「乞食行為なのでは?」と疑われるのは当然でしょう。
税金に使途不明の支出があれば腹立たしく感じるのと同じことです。
支援者に対してリターンがあるか
クラウドファンディングと乞食行為におけるもっとも決定的な違いは、「支援者に対してリターンを提供しているか」という点が挙げられるでしょう。
クラウドファンディングでは、大小の違いこそあれど、支援者に対して何かしらリターンが発生します。
それは利益の一部かもしれないし、一日デートする権利だったりもします。
しかし乞食行為では、支援者に対して明確なリターンがありません。
そもそもリターンしないことを明らかにしているか、リターンが設定されていても「実質的には支援者にとって利益がない」ものだったりします。
実際に
- 大事に使う
- 幸せな結婚生活を過ごす
- 感謝の念を飛ばす
といったリターンで、お金を集めていた人がいました。
大事に使うのも幸せな結婚生活を過ごすのも、支援者のリターンにはならず、感謝の念に至っては存在しません。
ただし「募金型」と呼ばれるクラウドファンディングでは、リターンがなくても乞食行為には当たらないと認知されています。
また、今のところ募金型でリターンがなかった場合、違法となるような法的根拠も見当たりません。
資金調達の必要性
そもそも、「クラウドファンディングで資金を調達する必要があったか否か」も重要です。
クラウドファンディングの場合、少なくとも「それなら、クラウドファンディングが必要だな」と、大多数が感じるような事由が求められます。
具体的には、
- 他者利益やリターンも感じられるが、致し方ない理由で本人に資金力がない
- 本人も資金を作るために努力しているが、本人の独力では足りない
- 資金調達したほうが、目的を達成するうえで著しく有効である
といったケースでは、資金調達の必要性が高いと言えるでしょう。
一方で乞食行為では、
- 本人が資金を集めるために、必要な努力をしていない
- そもそも本人が少し働ければ集められるような資金額である
- 資金調達したからといって、誰の役にも立たない、自己利益にしかならない
といった特徴が見られます。

もっとわかりやすく言えば、「自分で働いて買え」と言われるような内容であれば乞食行為とされやすいわけです。
クラウドファンディング乞食が炎上!怪しまれる原因となった5つの事例
過去に立ち上がったクラウドファンディングでは、いくつもの案件が「乞食行為なのでは?」と疑われていました。
定義があいまいなクラウドファンディングでは、過去の事例が非常に参考になります。
下記では、過去の事例を5つつ紹介します。
【途上国の子供達の夢バトンをつなぐ】京都府内の女子大生

1つ目は、「クラウドファンディングを騙って私的な海外旅行がしかっただけでは?」と疑われたケース。
京都府の教育大学に所属する女子大生は、以下のような内容でクラウドファンディングを立ち上げました。
- 支援者に対しスケッチブックを送り、途上国の子供達宛てにメッセージ書いてもらう
- 女子大生本人が、それを翻訳する
- 女性大生本人が世界一周しつつ、訪問先で出会った子供に「将来の夢」を書いてもらうことを繰り返す
- 集まったメッセージと将来の夢は、支援者にコピーされて配布される
- 最終的には写真展を開催する
一見すばらしい内容に見えますが、費用の内訳が不適切でした。
全体で160万円が必要でしたが、うち120万円ほどが
- カメラ代
- 生活費
- 航空チケット料金
など、案件には関係ない内訳だったのです。
また、本人のFacebookが割り出され、
- 旅が楽しいからずっと旅していたい
- 遊んで暮らしたい
などと述べていたことも発覚しました。
その他本人の対応の稚拙さもあり、「子供をダシにした乞食・詐欺行為」だと痛烈に批判されるに至ります。
【Macbook購入のため】つねこさん

続いては、当時女子大生だった「つねこ」さんが、炎上してしまったケース。
つねこさんは、「4年使っているパソコンにガタがきた」という触れ込みで、MacBook購入費用を募集しました。
しかしリターンは提示されておらず(「Twitterで購入報告する」とは述べているが、リターンとして不適格)、多くの人は「乞食行為だ」と感じた様子です。
最終的にはある程度の資金が集まりましたが、なぜかMacBookではなくsurfaceを購入してしまいます。
このことから、「最初に言っていたことと違う!」といった批判が集まり、かなり激しい炎上沙汰へ発展しました。
【教習所費用を出してください】モデルちあたんさん

女子大生モデルの「ちあたん」さんが立ち上げた案件による事例です。
彼女は「子供のころから夢だったバイクに乗るため」、教習所費用を募りました。
目標額150,000円を超える資金が集まり、クラウドファンディングとしては成立しています。
ただし、本来のクラウドファンディングの定義に沿っているかと言われれば微妙でした。
やはり「自己利益のためだけにクラウドファンディングを利用している」と非難されたのです。
ただし本人は支援額に応じて(大小の違いこそあれど)リターンを用意していました。
よって、「支援者に対してリターンがある」という点については、一定水準でクリアされていたとも言えます。
【フォトマガジン出版プロジェクト】真木ようこさん

人気女優である真木よう子さんによるクラウドファンディング案件。
真木よう子さんは、ファンとフォトマガジンを作成し、コミックマーケット93にて販売するという内容を設定していました。
しかし「自費出版物が取り扱われるコミックマーケットで、クラウドファンディングで製本されたものを販売する」という部分について、周囲から批判が殺到。
さらには本人にコミックマーケット(サブカルチャー)への熱意や理解が感じられず、「コミケを利用した宣伝だろう」と非難されました。
結局、本人がクラウドファンディングを中断し、プロジェクトは頓挫するに至っています。
また
- 本人が人気女優
- 相当な経済力を有している
なども問題でした。
ここから派生して、「そもそもクラウドファンディングする必要はあったのか?」といった疑問の声も残されています。
【大学院の学費を調達】たかまつななさん

最後に、現在「お笑いジャーナリスト」として活動している「たかまつなな」さんの事例を紹介します。
彼女は当時、東大・慶應大大学院に所属していました。
しかし家庭から学費支援を打ち切られたため、クラウドファンディングで支援を募ります。
ちなみに大学院へ通う必要性としては、「若者と政治の架け橋になるため」だと述べていましいた。
結局143万円の資金が集まり、クラウドファンディングは成立。
しかし、
- 「大学院に通えないからといって、若者と政治の架け橋になれないわけでない」
- 「そもそも若者と政治の架け橋とは何なのか?」
- 「(本人が資産家の子女であることから)、お金はあるだろう」
といった批判も集まりました。
しかも、大学院卒業後はNHKへ就職しています。
この点については、「事前に述べていた使途が違うのでは?」といった批判が寄せられるに至りました。
まとめ
クラウドファンディングによって素晴らしいプロジェクトを実現させた人は、決して少なくありません。
たとえば、「障害者施設へ新型コロナウイルス感染症を予防する防護服を配布する」といった案件は、適切な目的と運用によって達成されました。
また企業レベルの話であれば、「クラウドファンディングによって経営破たんを免れた」といったケースもあります。
一方で、クラウドファンディングは乞食と紙一重の位置にある概念です。
特に
- 自己利益のためである
- リターンが設定されていない
といったケースは乞食行為として認定されやすく、非常に厳しい批判を受けがち。

クラウドファンディングでは、他者利益や支援者のリターン、あるいは使途明確性により、周囲が納得できるような理由に基づいて実施されるべきたと言えるでしょう。

今ならLINEで書籍含む10個の豪華特典をプレゼント

かつて鬱で苦しんだ池田だからこそわかる稼ぎ方を伝授します

【お申し込みはこちら】お気軽に無料でご相談ください
